光学技術のパイオニアとして、「視る」ことの質を追求し続けるZEISS。今回は、神戸三宮の眼鏡専門店、“ZEISS Vision Expert”「マイスター大学堂」の久利将輝さんにインタビュー。ドイツでマイスター資格を取得した久利さんが語る、日本人の感性に合わせた眼鏡づくりへの思いと、プロフェッショナルが信頼を置くZEISSレンズの魅力に迫ります。
はじめに久利さんのこれまでの歩みについてお聞かせください。
神戸三宮の眼鏡専門店「マイスター大学堂」の久利将輝です。主に店の経営と、お客様一人ひとりの目の状態や生活スタイルに合わせた視機能の測定、眼鏡のご提案を行っています。
眼鏡業界に入ったのは、祖父の代から続く家業がきっかけでした。父は「眼鏡店として本当に差別化するためには、感覚だけでなく理論が必要だ」と考え、ドイツのマイスター制度に注目していました。マイスターというのはギルドの時代から続く伝統ある職業資格であり、一方、実技だけでなく、経営や人の教育についても学びます。日本人で初めて眼鏡マイスターの厳しい試験に合格した叔父の後を受け、私自身も大学卒業後の1996年、阪神淡路大震災の翌年にドイツへ渡りました。
当初は2年半ほど語学学校で学び、その後、現地の眼鏡店で働きながら職業学校へ通うという、まさにゼロからのスタートでした。ミュンヘン近郊の眼鏡店で修業を積みながら、理論と技術を徹底的に学ぶ環境に身を置きました。そうしたプロセスを経て、叔父に続き、日本人としては二人目となるマイスターの資格を取得しました。

2006年に帰国し、以来、ドイツで学んだ技術と理論をベースに、日本のお客様に合った眼鏡づくりを続けています。
貴店の強みや、マイスターとしてのこだわりについて教えてください。
当店の客層は幅広く、神戸三宮の商店街という場所柄、長年通ってくださる馴染みのお客様もいらっしゃれば、インターネットで検索して遠方から来られる方までさまざまです。その中で当店の最大の強みは、創業90年以上の歴史で培った「経験」と、ドイツのマイスター制度に基づく確かな「技術」の融合にあると考えています。
理論的な裏付けがあるからこそ、最新の機器やレンズの性能を最大限に引き出すことができます。しかし、技術だけでは不十分です。帰国当初は、ドイツで学んだ「視力をしっかり出す」ことを重視した眼鏡づくりを行っていましたが、日本のお客様との感覚とは少しズレがあると感じる場面もありました。

ドイツでは、測定結果に基づいて最大限の視力を引き出すことが基本とされています。一方、日本では、数値上の見え方だけでなく、日常生活での使いやすさや、長時間かけたときの感覚を重視されるお客様も多くいらっしゃいます。そうした違いに気づき、測定結果をそのまま当てはめるのではなく、お客様との会話や、スタッフの経験を踏まえながら調整することを大切にするようになりました。
ドイツで学んだ理論を軸にしながらも、日本のベテランスタッフの経験から学び、技術と経験を組み合わせることで、お客様一人ひとりに最適な「視え方」を提供できるよう努めています。
大切にしているのは、「実るほど頭を垂れる稲穂かな」という言葉の通り、常に謙虚に学ぶ姿勢です。知識を持てば持つほど、お客様や専門スタッフへのリスペクトが深まります。上から目線ではなく、同じ目線で対話をし、真のニーズを引き出すことを心がけています。

マイスターの視点から見て、ZEISSレンズはどのような存在ですか?
眼鏡においてレンズは視力補正の根幹をなす重要なパーツですが、見た目では違いが分かりにくい部分でもあります。だからこそ、信頼できるメーカー選びが重要になります。そのため、私たち提供する側としては、メーカーとしての信頼性や実績を重視することになります。その点で、ZEISSは世界的なシェアと長い歴史があり、安心しておすすめできるレンズメーカーだと感じています。
実際の見え方としても、「明るい」「コントラストがはっきりしている」といった点は、多くのお客様から評価をいただいています。測定結果をもとにレンズを選定した際も、狙った性能が安定して再現されやすく、提案する側として扱いやすい印象があります。
また、製品のバリエーションが豊富で、用途に応じた選択肢が用意されている点も魅力です。例えば、車の運転のために設計された『ZEISS DriveSafeレンズ』は、広い視野とクリアな視界が特長ですが、ゴルフなどのスポーツシーンでも有効なケースがあります。一つの用途に限定せず、測定結果や使い方に応じて柔軟に提案できる点は、日々の眼鏡づくりの中で助けられている部分ですね。
ZEISS Vision Expertとしての、今後の展望をお聞かせください。
まだ認定を受けたばかりですが、他のZEISS Vision Expert店との交流や情報交換を通じて、新たな知見が得られることを期待しています。当店はこれまで独自のやり方で取り組んできましたが、自分たちの考えだけに偏らず、他店での活用事例なども参考にすることで、お客様への提案の幅を広げていきたいと考えています。
ZEISSが選定した信頼できるパートナー同士で、「こういう使い方もできる」といった事例や工夫を共有しながら、日々の眼鏡づくりに活かしていければと思います。その積み重ねが、結果としてお客様にとってより納得感のある提案につながっていくものと考えています。

最後に、これから眼鏡を選ぶお客様へアドバイスをお願いします。
眼鏡を作る際には、どのような場面で使いたいのかを、できるだけ具体的に伝えていただくことが大切だと思います。「手元用」と一言でいっても、読書なのか、スマートフォンなのか、あるいは料理中にレシピを見るのかによって、適したレンズは変わってきます。
私たち提供する側も、過去のイメージや固定観念にとらわれず、いくつかの選択肢を試していただくことを意識しています。例えば、遠近両用レンズに対して「使いにくい」という印象をお持ちの方でも、現在のレンズを実際に体感していただくことで、「思っていたより楽に見える」と感じられるケースも少なくありません。
お客様との会話を通じて、生活スタイルや見え方のご希望を共有しながら、無理のない一本をご提案していきたいと考えています。ぜひ、ご自身の使い方や「見たいもの」について、気軽にお話しいただければと思います。



